庭園の管理

日記です

2020-01-01から1年間の記事一覧

重力坂

ゴオオオーーーーッという音とともに風を放出しているドライヤーの先、本来なら毛髪がある位置には、卵雑炊が置かれていた。ドライヤーを握っている晴子の目は真剣そのものであった。1週間の内に水曜日しかない休日を大切に過ごしたいと考えていた晴子は、待…

近寄った結果

君子危うきに近寄らずという意識を持ち生活したいと思ってはいるものの、数学を通ってこなかった僕のもとには次々と危険が近寄って来る。それでも危険を避け続け、そもそも君子って何を指すのだろうと検索してみると『徳が高く品位のある人。人格者』と表示…

ナイトルーティーン

「月が綺麗でアイラブユーアイラブユーです」「本当だ、すごい光ってるね!あとなんで2回も言ったの?」スーパーからの帰り道、微妙に噛み合っていないカップルの会話をすれ違いざまに聞いてしまった俺は根っからの精神病患者。すぐさま俺の心の中ではステッ…

祐一をきっかけに

フライトの30分前までパイロットがふたりエッチを読んでいたことが問題となり世間は賛成派と反対派に分かれて大変なことになった。仲の良かった老夫婦が派閥の違いで熟年離婚、名家に仕える執事はお嬢様と派閥が違うことが分かると弟に向かって話す態度でお…

嘘つきじいちゃんのルビックチョップ

「ワシは木彫りの鉄人28号を操縦したことがあるよ。鉄のな。なあ、ばあさん」また始まったよ。じいちゃんとばあちゃんはいつもいきなり僕のうちにやってくる。一人暮らしを始めて間もない僕を心配してくれているらしかった。「ばあさん…ばあさん、おい、ばあ…

奇妙な

改札を出たところにある四角い柱のそばで話している二人の男青年「じゃあ300万円はどうですか?」おじさん「そんな300万円なんて…もう少しなんとかなりませんか…?」青年「100万円は?」おじさん「100万円…すみません…もう少し…」青年「いくらなら大丈夫なん…

3000円無駄遣い

占い館『にいむら』に入るやいなや、水晶が乗ったテーブルの向こう側から「いらっしゃい、はいこれチャクラね」と袋に入った飴のようなものを手渡された。水晶の横にあるネームプレートには琢磨の母と書かれてある。受け取ったものを確認すると、どう見ても…